現地語たくさん② 〜情報へのアクセスについて〜
ひとつ前の記事は、単に私が現地語に苦労しているという話。
でも、こっちの記事は別の角度から。情報へのアクセスについて。
栄養不良の要因には、個人レベルの問題から、世帯やコミュニティレベル、地域や国レベル、さらには国際的なレベルの問題といった様々なものが複雑に影響しあっています。
栄養不良の個人レベルでの直接的な問題は、不適切な食生活。その不適切な食生活の要因として、食物や保健サービスへのアクセスに問題がある。食物や保健サービスへのアクセスの要因として、地理的要因ももちろんだし、情報へのアクセスや教育機会が不十分といったことがあげられる。
なんだかわかりやすく説明できていなくてもどかしいですが、要するに私の言いたいことは
情報へのアクセスが不十分である
=間接的に栄養不良の要因となる
ということです。
市内の保健ポスト(小さな診療所のような場所)を見学をしている際、こんな出来事がありました。
まだ少女といえるような、若いお母さん。小さな赤ちゃんを連れています。
スタッフさんが「あなた、何語ならわかるの!?ウォロフ?セレール?プラール?バンバラ??」と、きつい口調で言っていました。でも、そのお母さんは言われていることが全くわかっていないようで、にこにこと微笑んでいるだけでした。
スタッフさんはお手上げ🤷♀️と言った顔で困っていましたが、結局どうにかしてお母さんの持っていた携帯電話で家族か誰かに電話をして話が聞けたようでした。
セネガルの公用語はフランス語。小学校からきちんと教育を受け続けることができた人は、フランス語が話せます。その次に広く使われているのが、ウォロフ語。
自分の民族の言葉に加えてウォロフ語、フランス語が話せる人もたくさんいる一方で、自分の民族の言葉しか話せない人もいるようです。
母子手帳は、フランス語で書いてあります。保健センターやポストに色々と貼ってある啓発関連のポスターも、フランス語です。つまり、フランス語がわからないと、得られる情報の量が格段に少なくなります。情報へのアクセスということにおいて、大きな格差が生まれてしまいます。
また、ウォロフ語、プラール語、セレール語、バンバラ語、この4つの現地語のうち一つも話せないと、さっき書いた出来事のように病院に行くことすら一苦労ですよね。実際にここまで分からない人は少数なのかも知れませんが、そのような人たちにも情報へアクセスする機会や権利は平等にあるべきではないでしょうか。
誰もがきちんと教育を受けることができて、フランス語やウォロフ語をみんなが話せるようになる。そして情報へのアクセスを平等にする、それも栄養改善のためにとっても大切なこと。生きていくために、教育って大切。だけど、単純な問題じゃないし道のりは長いですね。
栄養改善について考えると、どんどん規模が大きくなっちゃって、問題が複雑になってきて、私には何ができるんだろう、できることなんてあるんだろうか、って無力感に襲われがち。
広い視野を持って問題の根本的な原因を考えることも必要だけど、自分にできる小さなことを探していかないと、、、
保健センターに来ていたお母さんと赤ちゃん。このお母さんはフランス語も話せました。
何の話したか忘れちゃったけど、最後に
「Tu es gentille (あなた優しいね)」って言ってくれた。